Claris Engage 2025 〜初参加のClaris Engageを楽しみました!
Claris Engage 2025 〜初参加のClaris Engageを楽しみました!
FileMakerに初めて触れてから10年以上が経ち、ついにアメリカ・テキサスで開催されるClaris Engageイベントに参加することができました。緊張と期待を胸に、「とにかく楽しもう」という気持ちで過ごした3日間の様子をレポートとしてまとめます。
初日
Home2Suitesという会場近くのホテルに滞在しました。朝の8時に起きて、そこからシャトルバスに乗りOpen Keynoteの会場のRenaissance Austin Hotelまで向かいました。 朝8時に起きて、9時発のシャトルバスに乗りました。時間通りにバスが来るなんて、しっかりしているなあと、すっかり北米の感覚で考えるようになった自分に気づきました。テキサスは緑が多く、まるで大きな公園の中に建物が生えているような印象を受けました。 Opening Keynoteの会場に到着してバッジを受け取ろうとしたところ、私の名前が間違っていたため、その場で名前のシールを印刷してもらうことに。もし紙のシールだったらちょっと恥ずかしいな……と不安になりましたが、ちゃんと透明で質の良いシールだったので安心しました。
その後、大きなホテルの宴会場のような朝食会場へ移動し、タマゴタコスのようなものをいただいてから、Open Keynote Sessionへと向かいました。
新製品や新機能の紹介では、会場全体が新しい可能性に期待を寄せながら拍手を送り、こうしたイベントがモチベーションを高めてくれる場なのだと改めて実感しました。新機能の紹介に続いて、それに関連するセッションの案内もあり、事前にセッション内容をしっかり確認してこなかった自分のような参加者にも分かりやすく、親切なプレゼンテーションでとても良かったです。恥ずかしながら、Clarisが40周年であることを今回初めて知り、そんな節目のタイミングに参加できたことを嬉しく思いながら、シャトルバスに乗りApple Austin Conference Centerへと移動しました。
さっき朝ごはんを食べたばかりな気がしつつも、Opening Keynoteのあとにはお昼ご飯のチキンサラダをいただきました。3日間を通してこの食事が一番気に入りました。ギリシャサラダ風のドレッシングで、美味しかったです。容器が全て生ゴミとして分解して捨てることのできる素材でできていて、さすがAppleはこういうところにも気を配っているのだなと感心しました。 (このスプーンもプラスチックに見えるドレッシングの容器も全て生ゴミ対応)
30 years with Claris FileMaker : Masterclass in effective strategies – Fabrice Nordmann (1-more-thing)
1つ目のセッションはベルギーの会社の方の「FileMakerと歩んだ30年」(私が勝手に和訳)というタイトルのセッションを受けました。ベルギーの会社の方で、ベルギーで働くのもいいなと妄想しつつ・・・。 色々な選択肢をそれぞれの場面で考えること、選択肢を考えるにあたってFileMakerの根底の部分を考えることの大切さを感じました。
例えば、「レコードの編集はそもそもどのように行われるのか?」という問いに対して「FileMakerは1レコードをダウンロードして、編集したらそれをPushして更新する。」そんな仕組みになっていることは、言われてみれば考えたことがなかったなと気付かされました。
The Knight’s three quests
01 Data integrityーデータ完全性 「不意にデータが消えるよりも意図せず変更されたほうが嫌じゃないか?」という一言に気が付かされました。
02 Performー施す 基礎を思い出すことが大事。 計算値は便利だという話の中で、Self healing dataという表現を計算値のSelfの計算式に使っていたのですが、それがとても気に入りました。英語だとそういう表現をするのかがちょっとわからないのですが、私はこれから計算値にSelfを使用するたびにSelf healing dataだと念じます。
03 Simplicityー簡潔に ここでもお気に入りポイントがあります。Make compromiseと話されていました。Make compromiseは妥協しようということです。「創造的なコードは素晴らしいけれど、それが可読性を下げて不便になることもある。」簡潔にするというのはあくまで分かりやすくすることであって短くすることではないという風に私には伝わりました。肝に銘じていこうと思います。レイアウトの部分ではGridのSnap onを使用すると便利だよとお話しされていました。グリッドに頼ったことがなかったので、今後は使ってみます。
30年間もの長い経験をどのように伝えるのだろうと思っていましたが、根本的にはシステムを作るのに近道は無く基礎を深く理解した上で作成しようということでした。環境変数は早い、このようにLoopを書いてはどうだろうか?などの技術面の提案もあり、スピーカーの人の頭の中を覗けたセッションでした。
Transforming requests into results : Creating effective roadmaps with clients – Mark Allen (We Know Data)
2つ目のセッションは、ロードマッププランを作ろうというセッションです。このセッションを受けていて思ったのは、スピーカーの人たちが私たちのことをProblem Solverと呼ぶことです。DeveloperでもEngineerでもなく、Problem Solverの方がかっこいいですね。 クライアントからの要望や必要な作業をすべて聞き出す準備の段階では、クライアントが本当に何をしたいのか、クライアントの業界が置かれているシチュエーションを考えることです。全員の意見を聞くこと。これが個人的には一番難しく、大切だと思いました。 解決すべき問題点を挙げた上で、グリッドグラフを使用して重要度順に並べてもらいます。その上で、我々の労力の部分も1から10で表現します(画像参照)。 Effortが労力であり、Impactはどの程度クライアントにとって重要かということです。 例えば7番は、労力がかかりすぎるのに重要度は中程度であるため、コスト面から今回は見送ろう、といった対話がされます。
重要なのは、このEffortがどれほどかかるのかをクライアントの前で対話しながら番号を動かすことで、プロジェクトを一緒に遂行しているという感覚を持つことだそうです。
クライアントに重要度を考えてもらった上で、こちらがどのくらいの時間がかかるのかも伝えるので、互いに協力するような形で一緒にプロジェクトを進めていけるのは良い手法だなと思いました。 セッションの合間には、おやつをいただくこともできますし、飲み物もたくさん並んでいました。常にスタッフの方が冷たい缶の飲み物などを補充していて、すごく目の行き届いたサービスに感動しました。
Under the hood ; Claris FileMaker – Clay Maeckel
3つ目のセッションは “Under the hood” を聞きました。このセッションでは、FileMakerにおけるJSONの裏側、どのように機能しているのかなどが説明されていたのですが……。恥ずかしながら、さっぱりわかりませんでした。私はXMLもJSONもあまり使わないのでピンとこず、後日ビデオを見た社内の方の感想を聞きたいです。
Claris after-party
最後は18時からのAfter Partyです。今年のテーマはヴィンテージ・ゲーミング(Vintage Gaming)ということで、Claris Engageは懐かしさと革新が融合するイベントを目指しているとのことでした。テーマに沿って、会場には昔のアーケードゲーム機が並んでいました(写真は忘れました)。 有賀さんや他の方とお話をしつつ、ご飯を楽しみました。こんな素晴らしいイベントに来させて頂きながら大変言いづらいのですが、誤魔化して英語で言うとSocially awkwardな性格なので、特に自分からは知らない人に話しかけには行けませんでした。次回があれば頑張ります。もしくは、どなたかぜひ一緒にいろんな人に話しかけに行きましょう。私は通訳としてついていきます。 食事の内容ですが、小さな器(もちろん生ゴミに捨てられる器)にブリスケットサンドイッチ、ハワイアンポケ風のマグロ丼のようなもの、マッシュルームリゾット、フライドポテトなどなど、いろいろな料理がカウンターに並んでいて、好きに取るスタイルでした。アルコールは2杯分のチケットをいただいて、ノンアルコールは飲み放題でした。 ここでもAppleのホスピタリティと言いますか、冷めそうになった料理は温め直す台?のような設備に置かれていて、温かい状態で提供されており、時間いっぱいの21時まで食事が並んでいました。みなさん、遅くまでありがとうございました。 一番最初はブリスケットサンドイッチを頂きました。お腹が空いていたので写真は忘れました。ブリスケットとは(by Google AI)牛の前脚の内側(胸部)にある肉で、肩バラ肉の一部です。英語で「brisket」と呼び、アメリカではバーベキューの定番として親しまれています。テキサスといえば、バーベキューの発祥の地です! 肩バラ肉をほろほろになるようにじっくり火を通して、甘めのバーベキューソースを絡めたお肉です。サンドイッチと聞くと三角のパンを想像すると思うんですけれど、そうではなく、いわゆるハンバーガーのバンズに挟まっています。バーガーはサンドイッチの一部なので、こういう呼び方になります。ハンバーガー屋さんに行って単品で頼みたい時に「サンドイッチオンリー」と伝えたりもします。私はいまだに違和感を覚えます。 他の料理もとても美味しく、おそらく日本人の方々はEngageの食事に感動しなかったかもしれないですけれど(食文化の違いから)、私はものすごく感動しました!素材に良いものを使っているんだろうな、さすがAppleだなあと、たくさん食べました。 21時ごろにシャトルバスに乗ってホテルへと戻りました。1日目を終えて感じたのは、ジャケットを持ってきて正解だったなということです。テキサスの日中は30度を超えると聞いていたので、ジャケットはいらないかと思いましたが、室内は寒いくらいでした。
2日目
8時のシャトルバスに乗り込んで朝食会場のCafeへ。All American Breakfastもしくはベジタリアン、そしてフレンチトーストから選べました。フレンチトーストがこっちの甘味にしては甘すぎず、めちゃくちゃ美味しかったです。食べすぎからくる少しの腹痛を覚えつつ、1つ目のセッションへと向かいました。
Master the art of writing clear and expressive code – Josh Ormond (lozax LLC)
「明確で表現力豊かなコードを書く技術を身につける」by Chat GPT お気に入りポイントは、わかりやすいコードを書くことを心がけて、短くしようとしすぎるのは良くない、ということです。人が見てわからないスクリプトは、名前を変える必要があるとのことでした。単純さを追求するために、ShowObjectWhenのように隠す場合ではなく、見せる場合のカスタムスクリプトをつくったりしてはどうか?このコードはなぜ作成されたのかという説明を含むことが大事です、とのことでした。 セッション自体は30分くらいで終わってしまいましたが、「みんながわかるプログラミング=ナチュラルなコードを書く」というのは大変ですよね、と会場みんなが共感していました。
Automated testing in a nutshell – Mick Crozier (Goya Pty Ltd)
2つ目のセッションは「自動化テストの要点」を聞きました。テストを作るのもソフトウェア開発だと言うお言葉は実に耳が痛くなるものでした。UIのテストも可能なMonkeyBread Software、AskUIと言うソフトがあることを知らなかったので興味深かったです。 開発をしている時み、何かに変更を加えたら必ず基幹の部分のテストを繰り返すので自動化した方が確認の漏れもなく確実ですね。
Moderated usability testing : The quickest way to purge your assumptions – Jeremy Upton (Skelton Key)
3つ目のセッションは「運営者主導のユーザビリティテスト」です。このセッションがとても面白かったです。モデレーテッドユーザビリティテストを行う意義は、システムがリリースされた後に変更が発生することが高いコストがかかるためです。なので、デザイン段階で問題を解決することが重要です。そのためにプロトタイプを用いてエンドユーザーにテストを実施します。 テストの行い方は、「〇〇の作業をしてください」と指示を伝え、その経過を観察します。操作の方法をこちらが説明することなく直感的に理解できるデザインが優れたデザインであるため、このような手法を取ります。私たちの想定と違う操作をしたとしても、中断をせず観察をしてメモを取ります。このテスト中にデザインに関する議論はしません(予期せぬ操作をされても声をあげてはいけません)。 プロトタイプ作成に使用されていたツールはBalsamiqで、画面を共有してもらいながら録画をするそうです。 今までやったことがない、考えたことがない手法でした。説明してからシステムを使用してもらうことが常だったので、プロトタイプの段階でこのように改善点を見つけることはとても有用だと感じました。
Raising the ’bar’ for design and development – Mekuria Getinet (Beezwax)
最後に受けたセッションは、通常のボタンではなくボタンバーをもっと活用しようというものでした。もう少し仕組みの部分が見られたら分かりやすかった気もしますが、そこは企業秘密なのかなとも思いました。
Claris Engage Closing Reception
2日目が終わった後は早いものでもうClosing Receptionでした。おつまみとお酒やカップケーキなどが用意されていましたが、今回はお酒は頂かずにLyft(タクシー)に乗ってダウンタウンの方へと行きました。後から聞いた話では皆さんで、FileMakerバースデーをお祝いしたそうです。
ダウンタウンを少し観光しようと、オースティンの州庁舎を見に行きました。あいにくの曇りのち雨でしたが、かっこいい建物でした。やっぱりテキサスはなんでもかんでも規模が大きい!そのまま歩いてBBQ屋さんへ行き食事を楽しみました。
3日目
「Training Day : Claris FileMaker Design – Alexis Allen (Hyperspace Data Solutions)」
3日目はトレーニングデイです。Claris FileMaker Designのセッションを受けました。 普段、良いデザインと悪いデザインは見たら、良い、悪いはなんとなく分かりますが、それを論理的に学ぶことのできるトレーニングでした。大きな学びとしては、ビジュアルデザインの原則を知れたことです。
ビジュアルヒエラルキー: 重要な要素を目立たせ、情報の優先度を明確にする
グルーピング: 関連する情報をまとめて整理する 統一感(Unity): 全体の一貫性を保ち、調和のとれたデザインにする
カラー(Color): グレースケールで確認し、色に頼りすぎないデザインを目指す
コントラスト(Contrast): 重要な部分を際立たせるための明暗差を利用する
ホワイトスペース(White Space): 余白を適切に使い、見やすくする
一貫性(Consistency): デザインのルールを統一し、使いやすさを向上させる
整列(Alignment): 要素をきちんと揃え、視覚的な整理をする
普段感覚でキレイにしようと努めていたレイアウトですが、今後はこのデザインの原則に従ってより良いものが作れそうです。トレーニングデイはハンズオンな感じなのかと思いましたが終始座学だったので、手を動かしたりするシーンがあればより理解が深まったかなと思います。ただ講師の方は有料でデザインのオンラインコースを実施されているので、今回のトレーニングを前学習としてオンラインコースの受講を検討します。
番外編
トレーニングの後はとても楽しみにしていたBucee’sへ車を走らせました。Bucee’sとはテキサス発祥のガソリンスタンド兼コンビニのことです。北米のガソリンスタンドにはセブンイレブンなどのコンビニが併設されていることが多く、その中でもバッキーズはとんでもなく大きいことで有名です。一番大きな店舗では120のガソリンポンプがあるそうです。コンビニもとても大きく、コンビニというよりスーパーです。マスコットのビーバー、バッキーくんはイースター(復活祭)も近いのでうさぎ耳をつけていました。私はちなみに、ぬいぐるみを購入しました。もしテキサスに行く際はぜひバッキーズへ。 飛行機の関係で次の日のフライトでカナダに戻りましたが、その際に遅延から乗り継ぎのデンバー空港で猛ダッシュをしたりというあっという間のテキサス滞在でした。現地の方々は皆さん優しくて、南側の方々のホスピタリティ( Southern hospitality )を感じました。とても気持ちの良い初Engageイベントを過ごせて、感謝です。
この画像は、FileMakerが40周年を迎えたことを記念して、記念品の販売コーナーや、これまでのFileMakerの歴史を辿るアイテムの展示が行われていた様子です。
文責:石田裕子(Canada ,British Columbia)