Claris Conference2025 〜初参加 「はじめての JSON 活用術 (T-33)」 レポート!
先日は Claris Conference 2025 にて、 「はじめての JSON 活用術 (T-33)」というセッションを担当させていただきました。多くの方にご参加いただき、本当にありがとうございました。個人的な振り返りも兼ねて、セッションの様子と内容をまとめたいと思います。
1. 満員御礼・事前の会話
今回のセッション会場は、定員20名ほどの比較的コンパクトな会場でした。予約段階で席がすべて埋まり、ホッとしていました。
セッションが終了して会場を見渡すと、後方に多くの方が立ってくださっているのが見え、 「途中で立ち見が出ていたんだな」と、驚きました。
始まる前に、会場で待機してくださっていた何人かの参加者の方とお話ししました。
多くの方が「JSONはなんだかややこしいというイメージがある」 とおっしゃっていたのが印象的です。特に、スクリプト引数に関して「今はまだ、改行区切りテキストで複数の値を渡している」という現状の課題を具体的に聞くことができました。
私は「その改行区切りテキストの課題が、まさに今回のテーマです」とお伝えし、セッションへの期待を高めていただけたかと思います。
2. 25分に詰めんだ内容
セッションの持ち時間は25分間。JSONの基礎から、改行区切りでの問題点の解説、そして実用的な活用例までを網羅するため、今回はほぼすべてを台本化して臨みました 。
本番に向けて何度もリハーサルを重ねたおかげで 、セッションを終えた瞬間の残り時間は8秒でした 。
時間を最大限に使って、密度の濃い情報をお届けできたと感じています。
セッションの核となったのは、 「改行区切りテキスト」が抱える脆弱性です。
従来の改行区切りでは、郵便番号や住所、宛名などを渡す際、GetValue ( $arg ; 1 ) のように行番号でデータを取り出します。
しかし、フィールドデータの中に意図しない改行、特にラインフィード(Char(10))などが含まれていると、データの行がズレてしまい、予期せぬ不具合を引き起こします。
しかも、データ自体は入っているためエラーとして検出しにくい、という問題もありました。
引数を増やしたり減らしたりする際のメンテナンスも煩雑になりがちです。
JSONを採用すれば、データはキーと値の組み合わせで構造化されるため、 「郵便番号」や「住所1」といったキー名を指定して値を取得・設定できます。
データの中に改行や二重引用符があっても自動でエスケープ処理されるため、値がズレる心配がなく、堅牢性が格段に向上します。これが JSONを使う大きなメリットです。
また、今回は JSON の応用例として、複数の宛先データをまとめて処理するJSON配列の作り方(FileMaker Pro 21以降のJSONSetElement ( $data ; “[+]” ; … ) の使い方など)や、グローバルフィールドの値をJSON形式で保存し、フィールドが増減してもスクリプトの修正が不要となるメンテナンスフリーなユーザー設定の保存・復元機能 をデモンストレーションしました。

3. 終わりに
今回のセッションで配布したサンプルファイル(宛名印刷用のファイルやユーザー設定の仕組みを含むファイル)は、私自身「気合を入れて作った」ものです。
JSONSetElement や JSONGetElement、JSONListKeys といった関数を、すぐに実践で使える形に落とし込んでいますので、ご活用いただければ幸いです。
セッション後、質問に来てくださったのはお一人でした 。きっと皆さま、まずは持ち帰って資料とサンプルファイルを見て試したい、と感じてくださったのだろうと前向きに捉えています。
このセッションが、これまでJSONに壁を感じていた開発者の方々にとって、その「ややこしさ」を乗り越え、 「効率的かつミスの少ないスクリプト設計」 を実現するきっかけとなれば幸いです。
文責:富田博文(Tokushima ,Japan)